
稼げる職人になる方法 ②の続きです。
前回までの記事を読んでいない方は、なるべく最初から読んで頂けると理解しやすいかと思います。
前回の記事では、「技術がある」というだけでは稼げないという事を説明しました。
更に補足すると、例えば、もし貴方が日本で一人しかいない特殊な技術を持っている職人だったとします。
その技術を持つ職人は日本中探しても貴方しかいないという状況なのだから、ものすごく稼げそうな気がしますよね。
もし、実際にそのような状況があったと想像して考えてみましょう。
おそらく、普通の職人よりは稼げるとは思いますが、桁外れの収入(年収1億円とか)は稼げないのではと推察されます。
その理由としては、貴方だけが持つ特殊な技術がなくても成立するような工法、資材が開発されるからです。
これは、あなたに仕事を依頼する側の立場で考えれば明白です。
依頼する側からすれば、貴方以外に頼る職人が居ない様な状況は致命的に危険であり、そんな状況を放置する訳ありません。
その技術が無ければ完工できない現場があったら、貴方の言い値で依頼するしかない状況になります。
更には、貴方が現場に来れない様な事があったらどうしようもなくなります。
人間いつ死ぬかもわかりませんし、病気、ケガ、個人的な用事、その他の事で動けないという事が、いつかは必ず起きるからです。
だとすれば、特殊な技術を持つ職人に高額なお金を払うより、誰でもできる様な工法、資材を開発する方に資金を使った方が合理的ですよね。
そういう訳で、実際に建設・建築の現場では、次々と簡単にできる資材や工法が開発され、何年も経験を積んだ職人でないと出来ない様な作業はどんどん少なくなってきているのはご存じの通りかと思います。
家というのは現代人の生活になくてはならない大事なものだからこそ、供給に問題が起きないよう、より簡単に誰でもできる様な方向に進んでいきます。
従って、限られた技術者しかできないような仕事はほとんどなく、大多数の職人であれば誰でもできる仕事が大半となり、今後その流れは更に進んでいくことが予見できます。
こうした理由から「技術があるだけの職人は稼げない」という結論に至ります。
前回の記事で触れた、「作業、技術的に一定レベル以上あるのは当然の事で、それ以外の部分で選ばれる職人こそが稼げる」という内容です。
自分でなくても他の職人で事足りるという状況でも、自分に仕事を依頼してもらうためには、技術的な面以外で評価してもらうことです。
その技術以外の部分とはこの三項目です。
- 真面目であること
- 気づかいができること
- 人として好かれること
仕事を依頼する側の立場になったと想像して考えてみればわかりますが、仕事面で同じだったとして候補者が複数いる場合、最も大事なのは好きか嫌いかということです。
「真面目」や「気づかい」といった事は、相手の気持ちに影響を与え好んでもらえる為に必要になる要素です。
「好き嫌いで決まるなんて不公平だ」と思いますか?
でも、これが現実です。
商品やサービスに差がなかったとしたら、馴染みの好きな店員がいるお店と、そうでない店だったらどちらを選びますか?
明確な理由はなくても居心地の良し悪しに差があれば、居心地の良い店を選びますよね?
いつも元気に挨拶をしてくれる店員と、ぼそぼそと何を言っているのか分からない暗い感じの店員だったらどちらに接客してもらいたいですか?
言うまでもなく答えは明白ですよね。
好かれる人というのは、依頼元の会社や担当者だけでなく、現場にいる他の職方の職人からも好かれる様な人です。
真面目=いつも良い仕事をしようと真摯に仕事に取り組んでいる
気づかいができる=自分の仕事を進めること以外にも、他の職方への配慮もできる
気づかいができるというのは、相手の気持ち、相手の立場に配慮して振舞うことができる人です。
そして気づかいは円滑なコミュニケーションに欠かせない要素の一つでもあります。
上記の様な真面目さがあり、気づかいができ、コミュニケーション能力も高いような人は、他人から好かれて当然ですよね。
好かれれば、依頼元の会社や担当者はまた貴方に仕事をお願いしたいと思ってもらえ、その後も継続して仕事依頼が続くようになります。
他人から好かれる事は職人だけでなく、他の仕事でも、またプライベートでもメリットしかありませんので、コミュニケーション能力を磨くことに取り組んでいってください。